2014'08.25.Mon
『おめでとう、おめでとう』
耳を劈くような拍手と喝采。
パチパチパチ、パチパチパチ。
惜しみない賛辞に、私は思わず両手で顔を覆った。
―――――やめて。
そんな風に、私を見ないで。
『君は白龍に選ばれた』
『その麗しい容姿で』
『その類稀なる歌声で』
『天照らす龍をも魅了した』
知らなかったの、本当に、知らなかったの。
こんな、こんなことになるなんて。
ねぇ、貴方たち、知っていたの?
本当は、知っていたの?
『おめでとう、おめでとう』
やめて、やめて。
『君は選ばれた』
お願い、もう、やめて。
『おめでとう。君はこれから』
本当は、知っていたんでしょう?
これは賛辞ではない。
これから貴方たちは。
『魔族として生きていくんだよ』
幾千もの呪言を、私に浴びさせるのよ。
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