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店長日記

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2017'06.24.Sat
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2013'05.06.Mon
ダメだ、短すぎて連投になる……しかし真面目に書くのも面倒くさい……設定掘り下げるのも面倒くさい……でもなんらかの形で書きたい……。

そんな駄目な思いに応える「読み物」カテゴリーです。にっこり。

解る人には解るであろう、あの人とあの人のお話、始まりだよ!(甲高い声で)

「すいません、助かりました」

濡れた頭をタオルでがしがしと拭きながら、打ち上げられた青年が言う。
兄は満足そうに笑いながら、小声で私に耳打ちをした。

「こりゃ宿代に、お礼代も期待出来るかもなぁ?」
「情けは人の為ならず、って兄さんにぴったり」

テーブルにお茶を乗せると、彼が頭を下げる。
ここを使用するのは、ほとんどが漁師なので若い男の人が居るのが、なんか変な感じ。
特に今は漁の季節で、あまり人は居なかった。

きょろきょろと、彼は物珍しそうに見渡している。
着ていた服は海水にずぶ濡れだったので、今はウチのパジャマだ。
そんな無防備に近い彼へ、兄が人の悪い笑みを向ける。

「あんな所で倒れてたなんて、アンタ遭難者かい?」
「いいえ、違います」

きっぱりとした物言いで彼が返事をする。

「じゃあ、なんでまたあんな所に?」
「助けて頂いたことには感謝をします。しかし、何もお話することは出来ません」
「はぁ?」

ふいに兄の顔歪む。あぁ、海賊と間違えられる風貌。私は兄を「まぁまぁ」と宥めると、黒い髪の青年を見た。

「……どこから来たんだ」
「お話できません」
「名前は!」
「お話できません」
「なんでだ!」

バン! と机を叩き、兄が立ちあがる。あぁ、もう、怖い怖い。
面倒くさいお客さんなら、帰ってもらえばいいのに。
お盆で顔を半分隠しながら、二人の男を交互に見比べる。
黒い髪の青年は、静かに目を閉じると小さく呟いた。

「貴方たちの、ためです」
「なんだそれ」
「私に関わらない方がいい」
「助けてもらった人間のセリフじゃねぇぞ、それ」
「とりあえず、ウチに泊るの? 泊らないの?」

複雑な話は嫌い。
訳アリ臭をプンプンまき散らす彼に、私が興味のあることはただ一つ。
宿泊の帳簿を目の前に広げ、ペンを置く。
お客なのか、そうでないのか。
それだけ解れば、後のことは私にはどうでもいいのだ。

彼は口に手を当てて考えると、左手でペンを持った。
そして、さらさらと
何か書きこむ。

「お世話になります」
「ユウリィ! 帳簿貸せ!!」

貸せ、と言うよりも奪うといった形で兄が私の手から帳簿を取る。
私もまだ内容は確認していない。
しかし、兄はニヤニヤしながら目を通すとテーブルに帳簿を投げた。

「お一人様ご案内、って所だな。シュラクさんよ?」

すると、彼がはっと顔を上げた。
この人、バカなの?
お話できませんって言ってたのに、帳簿の「おなまえ」の蘭にしっかりと名乗ってしまったらしい。

「偽名です!!」
「ユウリィ、飯だ飯! シュラクになんか食わせてやれ!」
「偽名ですってば!!」
「はいはーい。シュラク様、お一人ご案内~」

兄はカウンターに帳簿を置くと、笑いながら彼……シュラクの頭をぐりぐりと撫でた。
私もくすくすと笑いながら、手で食堂を指す。
シュラクは不服そうに頬を膨らませ、誰も居ない筈のテーブルに視線を移した。
つい、私もその後を追う。
誰も居ない筈のテーブル。
そのテーブルの上で、「何か」が跳ねたように見えた。
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