「ねぇ、ケンジってさぁ」
「うん?」
「ロケットパンチ打てる?」
「……」
「昔はな」
「飛距離は?」
「100メートルから200メートル」
「ほぅ。近距離で喰らったら結構な威力ですなぁ」
「まぁ、二回に一回は不発で足に当たるんだけどね」
「ダメじゃね?」
やまなし、おちなし、いみなし。
「マジでか! オレの見た巨大かぼちゃとどっちが大きかった?」
「え!? 見てない! そんなのあったの!?」
「いや、なかったけど」
「ないんかい!」
スーパーの前で思い切り頭を叩かれるケンジ。
二人は平和です。のほほん。
「……うわ、まだゲームしてるの? 今何時?」
「夜中の二時。長い昼寝だったね」
「ちゃんと夕飯食べたの?」
「そこにあったカップラーメン食べた」
「言ってくれたら何か作ったのにー」
「だってぐぅぐぅ寝てたじゃん」
「夜食なんか作ろうか? お茶飲む?」
「や、ご飯は大丈夫。お茶は飲む」
「あんまやりすぎて身体壊さないようにね」
「週末しかしないもーん」
「ちょっとは進んだ? ヨーコ」
「ひたすらカジノやってた。あ、お茶ありがと。ケンジ」
ヨーコはゲーマー。
台所はケンジの城。
「ねぇ、ヨーコちゃん」
「んー……あ、死ぬ! 死ぬ! ヤンガス死んじゃう!」
「あのさぁ、あそこの毛ってさぁ」
「んー……は?」
「生きてると思わない?」
「あーーーーー!!! ヤンガス死んだーーーーー!!!」
「ねぇ聞いてる!? ゲームばっかじゃなくてオレの話聞いてる!?」
「聞いてるよ。何言ってんの」
「絶対あそこの毛って生きてると思う。だってとんでもないところ落ちてたりしない!?」
「するけど……」
「たまに視界より高いところない!?」
「……ある!!!」
「な!!!」
「でも生きてないよ」
「そっかぁ」
「どう考えてもそうだよ!」
(自宅にて)
「ん~、リモコンの効きが悪いよ~」
「じゃあ、買い物行くついでに買ってくるよ。電池なに?」
「パナソニック」
「そうじゃなくて」
(スーパーへの道のりにて)
「あぁ、我ながらツボった……社名じゃん!」
「ときどき本気でボケるよね……で、結局電池なんだったの?」
「(親指と人差し指を広げて)これくらい」
「そうじゃなくて!!!」